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それ、機械じゃダメですか?

      2016/09/25

einstein-chuza © by dorfun

天才と呼ばれる秀才の皆さんを快く思っていない@morley_jpです。

たけしのニッポンのミカタで放送された「才能を呼び覚ませ!天才の作り方!?」という番組をみて思うところがあったので、恐れ多くも天才という超越者について考えてみました。

「天才とマシンは違う」
以上。終了。

ちなみに僕は自他ともに認める凡人です。
以下全部蛇足。

天才って、どんな人?

ところで、天才ってなんでしょうね。

この言葉を使うシチュエーションによって定義の違いはあれど、おおむね下記のようなことでいいのかな?

  • 人並み外れた能力、才能の持ち主
  • 常人が努力しても到底追いつかない遥かなる超越者
  • その能力を獲得するにいたる過程を凡人が見ても楽しんでいるとしか思えない
  • その類稀なる能力で偉大な実績を残した

Wikipediaではこんな風に書いてあったりします。

天才とは一般に、天性の素質に恵まれて才能を発揮する者とされる。しかし知的活動分野における天才の成り立ちを伝記などから紐解く限りでは、必ずしも彼らが幼時から天才として認知されているとは限らない。幼少時の教育は、大人社会での一般常識を身に付けるための訓練が主要であるため、むしろ問題児であるケースの方が圧倒的に多い
via: Wikipedia

うん、納得です。

ちなみに、こんなことを言っては元も子もないんですが、天才とは何ぞや?ということを定義づけること自体が凡人的発想なのかもしれません。

一体全体どんな天才を育てたいというのか

番組の中で、幼少期からバイオリニストやゴルファーとしてものすごい才能を発揮した人の話題なんかがが出ていましたが、彼らみたいな人を「天才」と語ることに抵抗を感じる人はあまりいないでしょう。

ところが、ですよ!?
結構香ばしい塾の話題なんかも混じってました。

番組的にはツッコミねらいの確信犯という印象なんですけど、なんか、派手な格好をしたおばさんの講師が子供たちに本をバサバサとめくらせて速読させたり、プラカードをものすごい速さでめくっていって暗記させる塾です。前にもみたことあるんですけど名前は忘れちゃいました。

速読や暗記の特訓中は異様な光景です。
何が異様って、訓練の最中、講師が早口でずぅ~っとなんか唱えています。まるで新興宗教団体です。

breaking through, scaring the small fish © by Genista

で、子供たちはアブない目つきで必死にやってます。速読の時の目はもう怖いです。

本の登場人物とかを拾い読みして大切に描かれた物語の上っ面だけを把握したり、カードに書かれたものを無理やり意味のないストーリーにして丸暗記してみたり、ちっとも面白そうじゃないと感じてしまうのは、僕が凡人だからでしょう。間違いありません。

最終的には東大とか、進学できちゃうそうです(棒)。

あれ?俺バカなのかな?

キカイの方が得意なことを必死になって人力でやるのは天才じゃない!

何度もいいますが、天才の定義はホントにむずかしいですよね。

でも、機械やロボット、コンピューターが得意なことを、わざわざそれより劣った人間の力でこなそうというのは、天才とはちょっと違うんじゃないかな、と思います。

たとえば、ロープを歯でくわえてバスを動かしちゃう超人。
いうまでもなく、スゴいです。僕にはとてもマネできません。

The Incredible Hulk © by oxcnpxo

これは見せ物としての商業的な価値を持った能力ですね。但し、一度みたらもうおなかいっぱいですありがとうございます。

バスは乗り物です。
燃料を燃やす代わりに大勢の人を遠くまで、ものすごく速いスピードで、疲れを知らずに運ぶための道具です。

だから、僕がもしバスを動かしたいのなら、歯を鍛えるよりもきっと大型二種免許(けっこう難関ですが)を取得します。
そのほうが人の役に立てるし、お給料だってもらえます。

同じく暗記の達人はショーとしての価値があります。

でも、人間の能力は貴重で限りあるものです。だからこそ、辞典があり、六法全書が存在するんです。
脳の外に書き留めておいて、必要なときにすぐ取り出せるようにしておけば、より多くの正確な情報を活用できるからです。

さらに現代ではもっと便利な記憶装置があるじゃないですか。
パソコンであり、インターネットです。

Netbooks de Conectar Igualdad © by ANSESGOB

インターネットの辞書は、先ほど引用したウィキペディアをはじめ、他たくさんのサービスがありますし、法律の条文なら法務省の法令データ提供システム、裁判例ならば裁判所の判例検索システムで、それぞれ詳しく調べられます。

アプリでいえば、Evernoteがそれです。写真でも書類でも、何でもとにかく突っ込んでおけば、必要なときに検索すると、写真に写った看板の文字まで認識して探し出してくれます。
まさに、第二の脳です。
しかも無料です。

暗算だってそうです。
もちろん、できるに越したことはないですけど、複雑な計算をコンピューターよりも早く正確に、しかも寝ないで続けられるんですか?AI(人工知能)のように日々ものすごいスピードで自ら学習を深めることができるんですか?

じゃあ、将棋だったらどうでしょう。
コンピュータ将棋対人間 対戦記録

昔の将棋ロボットは人間に負け続けの人生でしたが、2010年以降、怒涛の勝利が続いています。
将棋は記憶や計算などと違って、もう少し複雑で有機的な勝負ですが、コンピューターの発達はもうここまで来ています。

とはいえ、単調で無機質な暗記や計算と違って、将棋はプレイしたりそれを見たりすることそのものに楽しみがありますので、これからもプロ棋士は居なくならないでしょう。

話がそれてしまいましたが、重要なのは、ビックリ人間は天才とは違うということです。

機械や道具が逆立ちしてもできないことに人間としての本当の価値がある

ばか力(怪力)や記憶力や計算力では、人間は機械に勝てません。
技術の発達は早く、そのスピードは増すばかりで、人間が進化して追いつける余地は全くありません。

但し、これらの技術は人間が生み出して管理している、つまり所有物です。
自ら学習を深め進化していくような人工知能が発展したとしても、しばらくこの支配関係は変わりません。

人間が誇る、コンピューターのような機械がマネできない能力ってなんでしょうか。
たとえば、

  • 自ら考え、自ら行動する
  • 音楽を作ったり、絵を描いたり、芸術を楽しむ
  • 感情を表現する
  • 人の心を打つ
  • 自らコミュニケーションをとる
  • 機械や道具を発明し、使いこなす(支配する)
  • 工夫して改善する
  • etc.

こんなことじゃないでしょうか。
如何にテクノロジーの発達が爆発的なスピードであっても、少なくとも今後しばらくの間、これらは人間にしかできないでしょう。

Finger face having an idea © by Tsahi Levent-Levi

人間にしかできないことを極めるのが天才だ

つまり、人間にしかできない(機械ができない)ことで人の役に立ち、その能力がずば抜けている人が価値ある天才です。

もし、わが子を天才にしたければ、クリエイティブで柔軟で人の役に立てる大人に育ってほしければ、「集中力を養う」なんて名目で黙々と単純作業の練習をさせてはいけません。
絶対にだめです。

集中力は手段であって、目的ではありません。

スポーツだって、仕事だって、勉強だって、基礎的な練習は必要だけど、基礎力だけを極めても実際には役に立ちません。
たとえば、

  • 腕立て伏せや腹筋だけやっていてもボクシングでは勝てない。空手の型だけ極めてもフルコンタクト(実戦形式)の試合には勝てない。
  • ○△□をうまく並べて問題を解ける力が受験以外で役に立つことはそうそうない。人生は「いびつ」だ。

こんなことでしょうか。
この世のあらゆることは「有機的」につながっています。

手書きの帳簿をつけて電卓で計算するという苦行を続けても給料は上がりません。
忘れちゃいけないことは紙に書いて貼っておくか、アラーム機能のあるアプリに任せたほうがいいです。大切なことほど記憶に頼っちゃダメなんです。

なんか抽象的でまわりくどい話になってしまいました。

ピアニストの上原ひろみさんは天才といわれる人の具体例

ジャズピアニストの上原ひろみさんをご存知ですか?
僕はつい最近知りました。

TBS系で土曜朝に放送している「サワコの朝」という番組でたまたま拝見したんですが、彼女はものすごく幸せそうにピアノの話をします。

ピアノのことで壁に当たっても、ワクワクするんだそうです。
飛行機は大嫌いなんだけど、それよりも世界中の人の目の前で演奏する喜びが勝つんだそうです。

一度みれば分かると思いますが、この人、超天然です。

番組中で実際にピアノを弾いてくれたんですが、なんともいえない恍惚の表情で心の底からあふれる何かが伝わってきます。
ピアノのことなんて何も知らない僕でさえ、心を突き動かされました。

演奏を聴き終えた阿川佐和子さんは目に涙を浮かべて、「はい、なにも言うことはありません。」というようなことを言って黙ってしまったと記憶してます。
これを表現する言葉は無い、沈黙こそが最大の賛辞だ。僕はそう感じました。

話しぶりを聞き、演奏をみた後では、第53回グラミー賞を受賞したなんていう肩書など必要がなくなります。

天才というのは人の評価の外側に居て、自分の好きなことを(辛い壁にぶち当たっても)楽しみながらとことん、時間を忘れて没頭する、そういう力なのかな、と思いました。

上原ひろみオフィシャルサイト

上原ひろみオフィシャルブログ
旅をして出会った素敵な景色、おいしい御馳走、珍事件などなど、いろいろな瞬間をお伝えいたします

まとめ

ずいぶん昔からグローバル化なんていわれてますけど、インターネットや物流が発達した現在、国境や民族の垣根は低くなるばかりです。

今はまだ発展途上国といわれる国の人々は日本人の数分の一の給料で働きます。
そして、インド人もフィリピン人も英語を話せます。アフリカには英語だけでなくフランス語で育った人々も大勢います。

日本の市場を熟知したサービス業や、超精密な金型の職人みたいな、日本人としての血が通う職業以外は生き残るのが難しい時代です。

ロボットや外国人と同じ土俵で戦っていては給料がもらえないどころか、会社自体が存続できなくなります。

また、グローバル化と労働者の賃金について、とても参考になる記事をみつけましたのでご紹介します。

最低賃金を2倍にすると何が起こるか – デマこいてんじゃねえ!
「機械よりも人間を使ったほうが安上がり」という状況が変わらない限り、日本では産業の生産性が向上しないままだろう。 …

機械の発達と低価格化は止められません。これは人類の願いであり希望です。

そして、機械を支配して多くの仕事を効率的にこなし、幸福を実現できるのは人類の特権です。
新しい何かを思いついて、人を幸せにするのも人類の特権です。

さあ、あなたがリスペクトするのはマシンのマネをするビックリ人間ですか?それとも本当に価値のある天才ですか?

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